お知らせ

学術報告

【佐々総合病院】日本地域理学療法学会学術大会の参加-骨盤底筋群について―

2020年11月7日~8日に第7回日本地域理学療法学会学術大会へ参加しました。今回は支援工学、教育、管理部門と合同の学術大会であり、コロナ禍のためWeb上の開催でした。当院は地域密着型の急性期病院であり、私も院内だけでなく地域の女性が住みやすい街づくりを目指していきたいと考えているため、女性の健康管理を領域に入れている日本地域理学療法学会で発表しました。
佐々総合病院では入院患者向けに産後リハビリテーションを実施しています。その中で骨盤底筋群訓練の指導を行っていますが、どこにあるのかイメージが難しく収縮の仕方も理解しづらい方が多いです。近年、骨盤底筋群の指導をしているセラピストは全国的にも増加していますが、患者の骨盤底筋群の固有覚の理解度について述べている研究は少ないです。そこで私は当院の産後リハビリテーションで実施しているアンケート調査の「骨盤底筋群の収縮は感じられましたか?」という項目の結果を元に、分娩方法別に比較した骨盤底筋群の固有覚の理解度について研究しました。経腟分娩の方が会陰切開により骨盤底筋群の弛緩が生じやすく尿失禁の確率が高いといわれていることから、骨盤底筋群の固有覚の理解度も低下しやすいと考えました。しかし、アンケート調査結果から帝王切開の方が理解度が低下する結果となりました。この結果から、経腟分娩の方は骨盤底筋群の収縮時に会陰部痛が出現することにより骨盤底筋群の固有覚が向上しやすく、帝王切開では腹横筋に関与する筋膜を切開するため連動している骨盤底筋群の固有覚が低下しやすいと考えました。また、帝王切開の方への介入方法を再度検討していく必要性があることや、現在の院内活動から地域の活動へ広めていくことで女性の社会進出のお手伝いが出来るのではないかと述べました。学術大会参加者からは骨盤底筋群の固有覚について、産後リハビリテーションに参加した方の感想について質問を頂きました。
現在はコロナ禍のため活動は中止しておりますが、質問内容や研究結果から客観的評価がしやすい骨盤底筋群の評価方法を活用し再研究していきたいと考えています。また、帝王切開の骨盤底筋群の固有覚の理解度が向上するような指導内容を検討していく予定です。

文責:佐々総合病院 リハビリテーション科 多田梓

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