No.16 佐々総合病院
福田直先生・高橋祐一先生

SCU(脳卒中集中治療室)を始動し地域に貢献
血栓回収療法の治療実績は都内トップクラス!

佐々総合病院
副院長
脳神経外科部長・脳卒中センター長
TMG本部 脳神経外科特任顧問
福田 直 先生

ふくだ・あたる
【専門分野】
■脳血管障害(脳動脈瘤、頚動脈狭窄症、動静脈奇形、脳梗塞等)に対する脳神経血管内手術
■脳神経外科全般
【資  格】
■医学博士
■日本脳神経外科学会専門医・指導医
■日本脳卒中学会認定脳卒中専門医・指導医
■日本脳神経血管内治療学会専門医
■日本脳卒中の外科学会技術認定医

2000年 昭和大学病院 脳神経外科 研修医
2001年 国立国際医療センター 脳神経外科 医員
2002年 都立府中病院 脳神経外科 医員
2004年 昭和大学 救急医学科 助手
2005年 昭和大学横浜市北部病院 脳神経外科 助手
2007年 塩田病院 脳神経外科 医員
2008年 塩田病院付属福島孝徳記念病院 脳神経外科 部長
2011年 船橋市立リハビリテーション病院 医局長
2013年 千葉徳洲会病院 脳神経外科 部長
2019年 佐々総合病院 脳神経外科・脳卒中センター長

佐々総合病院
脳卒中科部長
SCU脳卒中ケアユニット責任者  
高橋 祐一 先生

たかはし・ゆういち
【専門分野】
■脳腫瘍の手術・高精度放射線治療
■三叉神経痛の手術
■脳卒中の外科(動脈瘤、脳動静脈奇形、頚部內頚動脈狭窄症、頭蓋内血管狭窄症に対する手術)
■脳神経外科全般
【資  格】
■医学博士
■日本脳神経外科学会専門医・指導医
■日本脳卒中学会専門医・指導医
■日本脳卒中の外科学会技術指導医
■日本頭痛学会専門医・指導医
■日本リハビリテーション医学会専門医
■がん治療認定医

2011年 東京女子医大東医療センター初期研修医
2013年 東京女子医大東医療センター脳神経外科
2016年 東京都立神経病院脳神経外科
2016年 国立成育医療センター脳神経外科
2016年 東京都立駒込病院脳神経外科
2017年 流山中央病院脳神経外科
2021年 東京女子医大東医療センター脳神経外科
2022年 佐々総合病院 入職

脳血管障害に特化した集中治療室・SCU(Stroke Care Unit)※1を2025年11月より始動させ、診療体制を強化した佐々総合病院。同院はPSC(一次脳卒中センター)認定※2、さらにはPSCコア認定※3を受けており、地域における “脳卒中治療の拠点病院”として機能しています。今回はSCU開設の立役者である同院の副院長で脳神経外科部長・脳卒中センター長の福田直先生とSCUの責任者である高橋祐一先生にSCU始動への想いや今後のビジョンについてお話を伺いました。

※1 SCU:
脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)の脳卒中患者を専門的に治療する集中治療室のこと。発症早期の患者に対し、医師や看護師、リハビリテーションスタッフ、薬剤師、MSW、管理栄養士など多職種からなる専門チームが24時間体制で集中的に治療を行う
※2 PSC(Primary Stroke Center:一次脳卒中センター)認定:
脳卒中の患者が救急搬送された際、脳卒中専門医が迅速に診断・治療を開始できる体制が整っていることを示すもの
※3 PSCコア認定:
地域の脳卒中治療において中核的且つ重要な役割を果たす施設としての認定(rt-PA静注療法を含む診療や常時機械的血栓回収療法を速やかに開始できる体制を整えていること等)

“医療の質”を高めるために開設

―――まずはSCU開設の経緯をお教えください。

福田
当院が位置する西東京市は都内でも脳卒中治療の医療資源が特に枯渇している地域でした。そのため当院の「急性期医療で地域に貢献する」の目標達成には、脳卒中治療体制の確立が必須条件でした。2019年4月に入職した私は、まず脳神経外科を再稼働させ、救急外来、病棟、手術室の整備を推進。5月には24時間365日体制での脳卒中受け入れ態勢を確立し、超急性期血栓溶解療法や手術を開始。「断らない脳卒中治療」を実践して結果を出し、住民や医療機関、救急隊からの信頼を積み重ね、脳卒中センターの下地を整えました。2022年に高橋が加わり、血栓回収療法をはじめ脳血管内治療の立ち上げと整備を担ってくれたことで、当院の脳卒中治療は質・量ともに飛躍的に向上。更なる質向上と患者さまの機能予後改善、同時に病院経営に寄与するためには「SCU開設」が不可欠と考え、病院側や本部と交渉を重ね、2025年11月、念願のSCU稼働へと至りました。
高橋
私は入職前から、東京西エリアは脳卒中治療において治療できる病院が圧倒的に不足していると感じていました。また、私が行う血栓回収療法においては将来絶対にスタンダードになると確信していました。そんななか、当院に脳卒中センターが立ち上がったことを聞きつけ、2022年、意気込み勇んで当院の門を叩いたのです。入職当時は数をこなすことに必死でしたが、次は“質を高めていきたい”とSCU開設を提案。私が責任者となり、スタッフ教育などを担っています。

―――開設にあたり優先した事項とは?

高橋
ハード面に関しては特に問題はありませんでした。もともと「重症管理室」の名称でICU(集中治療室)と同等の医療体制は整っていましたので、そこをSCUの基準に合わせました。一方、ソフト面の調整は苦労しました。一番のネックは看護師の確保です。採用や部署異動等、上層部に掛け合い交渉を重ねました。また、スタッフ教育にも力を入れ、脳卒中に特化した形で、現在でも朝に新患の患者さまを中心とした診断・入院・治療方針についてのミーティングを実施しています。

―――開設から約半年、病院内で起きた変化は?

高橋
脳卒中に専念できる環境が整い、スタッフたちの知識の定着がより深まったと感じています。また、稼働に関しては常に100%を維持しているので、病院の経営的にも確実に貢献できていると思います。
福田
SCU開設は病院全体のレベルアップにつながっています。「重症管理室」を閉鎖したことで、状態が悪化した患者さまや術後の患者さまをそれぞれの病棟が責任をもって管理する体制が構築されたからです。各病棟のスタッフ教育や機器導入に時間を要したものの、脳卒中治療だけではない病院全体へのプラスの波及効果となりました。

―――貴院の脳神経外科では新規入院数、手術数、治療等の実績が伸び続けています。要因は?

高橋
新型コロナウイルス感染症が落ち着いたことが要因のひとつですが、2019年から数年で得た救急隊や地域の医療機関からの信頼が今、実を結んでいると思います。あとは、気合と根性ですね(笑)。
福田
要因は大きく3つ。1つ目はリサーチをもとにした綿密な計画と実践。2つ目は勝負どころの見極めとタイミングを逃さず仕掛けたこと。3つ目は関連施設と顔の見える関係性を構築し相手の立場に立ってコミュニケーションをとり続けていることです。近隣には3次救急を担う巨大病院がひしめいているものの、2次救急医療機関が脆弱で、ここをしっかり担い結果を出すことが切り崩しの第一歩と考えました。また血栓回収を担う病院も人口対比で少ないことから高橋が中心となり迅速に受け入れ態勢を構築し連日対応したことも追い風に。人の嫌がることに勝機があります。脳神経外科を立ち上げた2019年の大型連休は10連休で救急医療体制が不安視されていました。この機を逃さず連休期間中継続して救急を受け入れ緊急手術も連日行なった結果、救急隊、地域、院内に存在が認知されました。今は地域の医療機関47施設と直通のホットラインを結び直接対応をしつつ、47施設すべてに年に2、3回直接訪問し、ニーズの変化や最新情報を集めつつ、それをもとに計画を更新し実践を行う。この繰り返しを7年間行ってきた結果だと思います。

職員が自慢できる病院に

―――お2人が治療の際に心掛けていることは?

高橋
治療方針を考えるうえで、できるだけ自分の主観は入れないことです。症状や検査の結果、生活背景を客観的に把握し、患者さまがどのような医療的介入を求めているのか、必要なのか、それに対して何をすべきなのかを常に考えています。主観が入ると、思い込みや先入観により患者さまのニーズに合わなくなる恐れがあり、それは医療の本質ではありません。あくまで患者さま目線を徹底することがモットーです。
福田
患者さまとの“契約”を確実に実行することです。日常生活に直結する脳を扱う専門医として、ガイドライン一辺倒ではなく、患者さまの生活背景や病態、今後予想される症状、すべてを踏まえたうえでの治療を提案しています。治療は一人ひとりの患者さまとの“契約”です。その契約を確実に遂行する。それを可能とする技術と知識を身につけなくてはいけないですし、意識しています

―――今後のビジョンをお聞かせください。

高橋
医療の質を高める”ことを今後も深めていきたいです。これまでSCUを稼働させ軌道に乗せることに必死でした。引き続き後進の教育・指導に力を入れていきたいですし、誇らしげに皆が働ける環境をつくっていきたいです。そして優秀なスタッフに“当院で働きたい”と思ってもらえる施設を目指していきます。また、治療実績も伸ばしていきたいです。私が行う血栓回収療法に関しては都内でもトップクラスの実績を誇っています。量も質もさらに高めていきたいです。
福田
当院のSCUは現在6床で稼働率100%。これを9床に増床したいと考えています。これには人員が必要不可欠ですので、看護部とも相談し人材確保に力を入れていこうと思います。そして急性期医療で地域に貢献すること。また、高橋も述べていますが、「患者さまのみならず職員から選ばれる病院になること」。自院を誇れることは素晴らしいです。当院が誇れる病院となること、スタッフから愛される病院となるよう力を尽くしていきます。

―――本日はありがとうございました。

佐々総合病院
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