トピック


外科部長 富永 幸治



消化管出血では血液を嘔吐する吐血(とけつ)や、排便時などに肛門から血液が排泄される下血(げけつ)がみられることがあります。今回は下血についてちょっとお話しします。

下血と言っても大きく分けると、黒色のものと赤色のものがあります。

一般的に胃や十二指腸の上部消化管からの出血は胃酸の影響により黒色となります。泥状の真っ黒い便が出たらすぐに胃内視鏡検査が必要となることがあります。但し、ここの出血でも多量になると赤っぽくなる場合があります。

小腸や右側大腸からの出血の場合はやや黒っぽい赤色、左側大腸から肛門近くになるほど真っ赤な鮮紅色となります。色によってもある程度の出血部位が予測出来ます。

下血の原因には様々な疾患があります。その中でも日常診療でよく遭遇する疾患について簡単に説明します。



 

大腸癌の症状として多いのが腹痛、下血、便通異常(下痢や便秘)などです。下血は頻回にみられたり、あるいはたまにみられる程度であったり。赤黒かったり、真っ赤であったり、と様々です。便潜血検査ではじめて出血に気付く場合もあります。先ずは、大腸内視鏡などの検査が重要です。



 

これは大腸壁の一部が嚢状に突出したものです。右側大腸やS状結腸に発生することが多く、年齢とともに増加する傾向があります。憩室内に便などが入り込み、それによる炎症や機械的刺激で出血することがあります。多くは絶食、点滴により止血されますが、時には内視鏡的、さらには外科的な止血術を必要とすることがあります。



 

腸管粘膜の血流障害により起こる大腸炎です。動脈硬化があり、便秘などをしやすい高齢者に多く発症します。左側大腸、S状結腸に多く、突然の腹痛と下痢、下血がみられます。点滴の治療でほとんどが治癒しますが、重症の場合では、緊急手術を要する場合もあります。



 

20〜30歳前後の若年層に発症することが多く、繰り返す粘血便(ゼリー状の血便)が特徴的です。症状や程度に応じて内服や坐薬などで治療を行います。

 

 

肛門管の静脈がうっ滞して痔核となります。排便時に鮮紅色の出血が見られます。外用薬や内服による治療、外科手術を行います。しかし、痔核からの出血だと思い放置しておくと、実際は直腸腫瘍からの出血であった、などと言う場合もあるため、診察や検査が必要です。

 

 

以上の疾患が下血の原因となりますが、これはほんの一部です。他にも緊急処置、緊急手術を要する疾患や、重大な疾患が隠れている場合があります。
ちょっとした症状でも先ずはかかりつけ医や消化器専門医にご相談ください。






トピック



リハビリテーション科 佐藤 弘之介
監修 薬剤科



リハビリテーションを行っている患者さんとお話をしていると「痛いところに湿布を貼っても大丈夫ですか?」、「温湿布と冷湿布どちらが効果ありますか?」との質問がよく聞かれます。そのようなご質問に今回お答え致します。


家事や仕事をされている方は肩こり、腰痛、膝痛に悩まれて湿布を手放せない方も多いと思われます。お話を伺うと効果が感じられないという方も度々見受けられます。実は湿布の歴史は非常に古く、古代ギリシャ時代より使われていたとの説も当時の書物に残されています。現代の湿布ではその効果に科学的根拠があるようですのである程度の効き目は期待できるでしょう。
古来日本では、痛み止めに馬肉を貼っていた、徳川時代では昆虫の何らかの成分を使って病気を治していたとの説もあります。現在ではCMでもお聴きになるようですが、市販されている湿布ではインドメタシンやフェルビナクなどの消炎鎮痛剤の配合されたものが主流となってきております。

 

 当院で処方される湿布薬は2〜3種類ありますが、いずれの湿布薬も抗炎症作用、鎮痛作用があります。そのため炎症症状がある箇所に対しては一定の効果が期待されます。変形性関節症、肩関節周囲炎、筋肉痛、腱鞘炎などが適応となります。このような疾患には炎症症状、痛みを和らげる作用があると考えられます。
ただ、“かぶれ”の副作用が人によっては現れることもあります。また湿布薬の種類によっては“ぜんそく”を持病にある方はアレルギーの関係上、医師に相談した方がよいでしょう。

 

 当院で処方される温湿布は抗炎症剤にトウガラシエキスが含有しております。そのため炎症症状の緩和と血行促進が期待できます。炎症・痛みのある箇所は局所的に循環不全に陥っているため、血行を促進することは痛み物質を取り払うという意味で鎮痛作用があると考えられます。しかしながらその反面、皮膚への刺激が強いという声も聞かれます。
  冷湿布は先ほど説明の通り、炎症を緩和し痛みを和らげる作用があります。
温湿布と冷湿布の大きな違いは貼付したときの“ポカポカ感”と“スースー感”の違いで、その辺りは個人の好みによるところがあります。スースーする冷湿布の方を好まれるように感じます。炎症症状(腫れて熱を帯びている状態)のある箇所には冷湿布のほうをお勧めします。


以上、湿布にもいろいろな種類がありますがいずれも同様の作用を有しています。医師と相談の上お決めになるとよいと思われます。








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