2003年5月に受動喫煙防止を掲げた健康増進法が施行され、学校、病院、百貨店、飲食店、事務所などさまざまな公共施設で禁煙化が広がっています。日本の成人男性の喫煙率は約4割と減少してきていますが、先進国において日本の禁煙率はいまだに高く、女性は1割強で減少傾向は鈍く特に若年女性では増加傾向にあります。喫煙者の多くは喫煙を、趣味、嗜好ととらえているようです。
しかし、今や喫煙は「ニコチン依存症」という病気と認識されるようになり、日本でも2005年に9学会の「禁煙ガイドライン」が発表され、喫煙を「“喫煙(依存症/喫煙関連疾患)”という全身疾患」、そして喫煙者を「積極的禁煙治療を必要とする患者」と位置付けられています。
タバコの煙には4000種類もの科学物質が含まれ、そのうち200種類以上は有害物質です。中でもタール(発がん物質や発がん促進物質、毒性物質が含まれている)、ニコチン(猛毒で高い依存性がある)、一酸化炭素(動脈硬化を促進させる)は、3台有害物質といわれています。
タバコは多くのがん(喉頭がん、肺がん、口腔・咽頭がん、食道がん膀胱がんなど)や慢性閉塞肺疾患の原因、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳卒中のリスクになることは周知の事実ですが、最近の研究では喫煙が糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクになることが注目されるようになってきています。イギリスでの研究では、喫煙者は非喫煙者に比べおおむね10歳程度寿命が短いことがわかりました。日本の研究でも、40歳の時点で喫煙者は非喫煙者に比べ男性で約5年、女性で約4年寿命が短いことが報告されています。
喫煙者の多くは、タバコが健康に良くないということは理解していますが、「身体的依存(ニコチン依存)」と「心理的依存(習慣)」の二つの依存によりなかなか禁煙が成功しません。2006年4月より一定の要件を満たせば禁煙治療が保健診療適用となり、従来のニコチン貼付薬に加え2008年4月から新しい禁煙のための飲み薬も使えるようになり、ますます禁煙治療の幅が広がっています。
禁煙を始めるのに遅すぎるということはありません。禁煙はいつ始めてもその日から肺がんや虚血性心疾患の死亡率は徐々に低下します。肺がんに関しては禁煙10年で喫煙者のリスク役3分の2まで、禁煙後10年程度で非喫煙と同等までリスクが低下するとのデーターもあります。禁煙したくてもどうしてもできないという人は気軽に禁煙外来でご相談ください。