(1)麻酔が効きにくい人、効きやすい人
手術を受ける場合、麻酔は大きく「全身麻酔」と「局所麻酔」に分類されます。「局所麻酔」は歯医者さんで歯の治療をするときや、眼科の手術、整形外科の手の手術などで使われます。「局所麻酔薬」と呼ばれる薬を手術するところの「神経」の近くに注射して、「痛みの神経」を「麻酔」することで痛みを感じなくさせます。患者さんによっては「神経の走行」が異なることや、まわりの「脂肪」などで「局所麻酔薬」が効きにくい方がおられるようです。
一方「全身麻酔」は胃や大腸の手術、肺や心臓の手術、骨折の手術、脳の手術などを行うときに使います。「全身麻酔」は「静脈麻酔薬」、「吸入麻酔薬」、麻酔用の「麻薬」、「筋弛緩薬」などさまざまな薬を組み合わせて使用します。さらに手術が終わった後の痛みをとるために、背中の背骨の奥に「硬膜外カテーテル」を入れて直接「脊髄神経」を直接「麻酔」することも行われます。
(2)麻酔が手術の途中で切れてしまう?
「局所麻酔薬」は使用する薬の種類によって30分から3時間で「麻酔」が切れてきます。もし手術の途中で「痛み」を感じたら、手術を行っている「医師」に「局所麻酔薬」を追加してもらってください。
「全身麻酔」の場合はいろいろな種類の「麻酔薬」を組み合わせて使用しますので、「麻酔が効かない」ことや「麻酔が途中で切れる」ことはほとんどありません。
(3)麻酔から覚めない?
「局所麻酔」の場合「局所麻酔薬」が「神経」そのものに注射されますと、「麻酔」の効果が長時間に及ぶことが報告されております。時には神経に「しびれ」が残ることもあるといわれております。
「全身麻酔」から目が覚めない原因のひとつは、「麻酔薬」が多すぎたことがあります。そこでさまざまな「麻酔薬」を組み合わせて使用することで、それぞれの「麻酔薬」の使用量を少なくし副作用が最小限になるよう綿密な「麻酔計画」をたてます。しかし「麻酔薬」は患者さんの「肝臓」や「腎臓」で「分解」「排泄」されて体の外に出て行きますので、「肝臓」や「腎臓」の悪い方は「麻酔」から覚めにくいといわれています。「心臓」の悪い方も「麻酔薬」を「分解」する力が弱っている場合があります。当院では麻酔中に患者さんの「脳波」や「筋肉の収縮力」を調べて、患者さんそれぞれに応じた「麻酔薬」の投与量を決定しております。仮に「麻酔薬」が多すぎた場合でもいずれ「分解」「排泄」されて、翌日には「麻酔」から覚めますのでご心配ありません。
「麻酔薬」が体内から完全に「分解」「排泄」されても目が覚めないことがあります。これは「全身麻酔」から覚めないのではなく、患者さんの「脳」に問題がある場合があります。「精神科、神経科」の薬を飲まれている方は、薬の副作用で目が覚めないことがあります。「脳出血」や「脳梗塞」の患者さんは、麻酔中に「脳の血流」が少なくなって目が覚めにくいことがあります。また麻酔中に「脳出血」や「脳梗塞」が発生することもあります。手術により大出血をおこした場合、「脳の血流」が低下することがあります。これらの場合「CT」や「MRI」で検査をしてみないと、詳しいことはわかりません。
「日本麻酔科学会」では患者さんに安心して「麻酔」を受けていただくために、「麻酔科専門医」がいることや「全身麻酔の症例数」など基準を満たした病院を「認定病院」としております。全国で791病院、東京都内でおよそ100病院が認定されておりますが、そのほとんどは大学病院、公立病院、企業病院、宗教法人の病院です。都内の民間病院で認定されているのは10病院ほどです。当院もこの「認定病院」でございますので、安心して「麻酔」をお受けいただけます。「日本麻酔科学会」のホームページでもご確認いただけます。http://www.anesth.or.jp/