副院長 鈴木 恵史
日本内視鏡外科学会技術認定(消化器外科)取得
日本胃癌学会評議員 日本臨床外科学会評議員
日本外科学会指導医、専門医
日本消化器外科学会指導医、専門医
日本消化器内視鏡学会指導医、専門医
日本臨床腫瘍学会暫定指導医
日本消化器病学会専門医
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2005年4月より副院長として着任いたしました鈴木と申します。どうぞ宜しくお願いいたします。私は昭和大学一般消化器外科で2005年3月まで講師をしておりました。昭和大学では消化器癌の外科治療に携わり、なかでも胃癌治療を専門としておりましたので、最近の早期胃癌の治療について触れさせていただきます。
近年、日本人の胃癌の年齢調整死亡率は減少しているものの人口の高齢化がこれを相殺し、胃癌罹患数は横ばい状態とされています。この死亡率の減少には早期診断の普及と治療の進歩が大きく寄与したとされています。また、最近では日本で治療を受ける胃癌の約半数が早期胃癌であるとされています。
わが国の胃癌治療法としては、以前は開腹手術(腹部を大きく切開する)が中心であり2群リンパ節郭清(胃の周囲と胃を栄養する血管周囲のリンパ節を脂肪組織とともに取り除く)を伴う胃亜全摘または全摘が多くの症例に行われておりました。 ところが、近年の早期胃癌の増加に伴い、さらに機能温存の考えからも治療法の縮小化が試みられていました。そこで問題となるのは胃癌では比較的早い時期から起こるリンパ節転移です。最近では、過去の多数の手術例のデータ解析により、リンパ節転移の無いまたは可能性の極めて低い胃癌が明らかになりました。
これにより、安全にリンパ節郭清の省略あるいは縮小が可能となり、2001年に日本胃癌学会より提示された胃癌治療ガイドラインに内視鏡と縮小手術の適応が示されました。これによると、リンパ節転移の可能性がほとんど無い胃癌(大きさが2cm以下の一部の早期胃癌)には内視鏡的粘膜切除(Endoscopic
mucosal resection:EMR)が適応とされ、手術をせずに内視鏡(胃カメラ)で胃癌を取り除くことが可能とされています。
また、リンパ節転移の可能性が低いがEMR適応とならない早期胃癌、さらに肉眼的に胃周囲にリンパ節転移があるが2cm以下の早期胃癌は縮小手術(胃の切除範囲、リンパ節郭清範囲を小さくする)の適応とされています。
このEMRはさらに適応を拡大する(大きさが2cm以上の一部の早期胃癌)ことが試みられ、EMRを発展、改良した手技として切開・剥離法(Endoscopic
submucosal dissection:ESD)が広まりつつあり、当院でもすでに福島顧問により施行されています。縮小手術のなかでは最近の技術とされる腹腔鏡補助下手術(Laparoscopy-assisted
distal gastrectomy:LADG)が試みられています。LADGはガイドラインのなかでは研究的治療としての位置づけですが、2002年度の保険診療報酬に収載され、有望な手術法として積極的に施行する施設が増加しています。
LADGの方法は、腹部に約5〜10mmの小さな孔を5ヶ所開けここから手術用のカメラと器具を入れて、カメラからの画像を手術用のテレビ画面に映し、胃の周囲のリンパ節の郭清と血管の処理を行います。その後、みぞおちに約5cmの小さな傷(従来の開腹手術では約20cm)をつけ、ここから胃を切除し吻合(つなぐ)します。
このLADGを私は昭和大学時代1999年に開始後多数(術者として現在までに55例)経験し、さらに本年より開始された日本内視鏡外科学会技術認定を胃癌手術で取得し(胃部門では受験者81名、合格率49%であり、胃癌の合格率については未公表であるがさらに少ない)、当院でもすでに患者様への充分なインフォームドコンセント後に行っております。
LADGの低侵襲性としては術後の炎症所見の回復が早いこと、そして傷が小さいことから術後の腸閉塞の合併がきわめて少ないことも挙げられます。また、この手術後の患者様からの評価はアンケート調査により、「満足度」は平均4.8点(5点満点)、「他の患者様に勧める手術か」の問いについては全員が「勧める」と5点満点の評価をしています。もちろん現在までに再発例はありません。
今後とも早期胃癌手術については積極的に低侵襲かつ確実な医療を続けていく方針です。なお、今回は早期胃癌の治療についてお話いたしましたが、進行癌に対する定型手術あるいは拡大手術、さらに癌化学療法も積極的に行っております。また、胃癌治療のみならず、胃に不安のお有りの方はどうぞお気軽にご相談ください。 これからも積極性のある医療を追求し、かつ患者様に優しい医療を続けていきます。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
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